沖縄にしばしお別れ。旅の始まり

旅エッセイ

箱根に出発したら今年いっぱいは沖縄に戻らないので

出発するまでの数日間をいつもより丁寧に過ごして沖縄を満喫しておこうと思った。

まずライティングのお仕事で美ら海水族館の取材が入っていたのでアポイントを取って訪れた。

近所ということもあって海洋博公園にはよくお散歩に行く。

お気に入りは熱帯ドリームセンターと、ポリネシアンの歴史を展示した

博物館と、プラネタリウム。

特に熱帯ドリームセンターは名前だけ聞いていた頃はそんなに期待していなかったけど、

入ってみたらこんなラピュタのような別世界が広がっていて驚いた。

美ら海水族館に訪れたら、ぜひ立ち寄ってみて欲しいおすすめスポットだ。

久々にマナティ舘に行くと前後からブニッと押されたみたいなアメリカンマナティが一心不乱にキャベツを貪る姿を目撃。可愛すぎる。

出発の二日前、あまりにピカピカの夏陽気で

家の窓から海をチェックしたらちょうど満潮だったので

これは行くしかない!と荷造りに手をつけずフィンとシュノーケルを抱えて

またオレンジ色の自転車に飛び乗った。

ちなみにこの自転車は私の暮らしを支えてくれる相棒なので

その色にちなんで「ポニョ」と名付けている。

今度こそ今年最後の海だったので備瀬の一番奥にある備瀬崎まで行った。

海の中では色とりどりの魚達が、まるで渋谷のスクランブル交差点のように行き交っている。

たっぷりと深さのある海に光のシャワーがキラキラと差し込む。

海に入ってハッとした。

「あぁ、この2年間旅をせずにここで暮らしながら頑張った日々は無駄じゃなかった。

私は毎日この海にたくさんの感動や癒し、ひらめきをもらっていたんだ。」

仕事が自分の目標に達しなかったことが悔しくて

少し前まで気持ちが沈んでいたけど

それは暮らしのほんの側面でしかなかった。

そしてやってみたことは決して無駄ではなかったと心から思うことができた瞬間だった。完全復活。

荷造りをほっぽらかして来てよかった。

備瀬崎のマリンショップには看板犬のムーちゃんがいる。

オーナーの娘さんが飼っていて、毎年シーズンになると大阪からやってくる。

今年もムーちゃんを撫でたり、一緒に日向ぼっこしたりして

嬉しい日もてんてこ舞いな日もムーちゃんの可愛さに癒されたなぁ。

今年最後のムーちゃん撫で撫で。

オーナーはシーズンオフには北海道へ行く。

次の夢や世間話をして、「良いお年を!」と言い合って笑った。

ライフスタイルが似ているからか、話が合うのが気楽で

自分らしくいられる場所のひとつ。

ありがとう備瀬崎!

そんなこんなでついに出発前夜になり、ようやく荷造りする気になった。

3ヶ月分なので冬を想定して、厚手のコートやマフラー、セーターなんかを

圧縮袋に詰めていく。

沖縄にいる時には着ないグレーのロングコートと

MA-1も一応入れておこう。

冷蔵庫の中身はモリモリと食べ、数日前におジーからもらったグァバで作ったジャムは食パンでサンドイッチにして持っていこう。

沖縄は湿度が高いので、油断するとすぐにカビが生えちゃうから対策を。

掃除をして、衣類は除湿が効いている場所へ置いておく。

お風呂やトイレ、棚の戸は全部開けて換気扇はオンにする。

3ヶ月後、みんな無事でいておくれ、と心の中で念をかける。

さぁ、ついに旅の始まり!

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